いちびり激励文


いちびり一家がいただいた激励のお言葉です。
(各公演パンフレット・チラシ等に掲載させていただきました。)
いちびり一家旗揚げ公演『物語る月』チラシより   2001・3

「たいふういっか」を「台風一家」と書く若者が多いそうだ。
そんな一家を目指しての劇団命名かと、笑った。「いちびり」は、調子に乗ってふざけ回り、度を越してはしゃぐ人を指すらしい。
『上方語源辞典』によると、その動詞は「いちびる」、多く子どもに言うそうで、「近世上方語としては、自分にできもしないことを力んでする」とある。面々の顔を思い浮かべ、妙に納得した。
 ハイテンションでスタートする決心が見えて、うれしいとする。
こうなったら、浮かれ抜くしかあるまい。        
                        秋浜 悟史

『砂場の決闘』チラシより   2003・4
 いちびり一家には、たしか箱庭療法に凝るファミリーがいたはずだ。今度の『砂場の決闘』では、その不届きが蔓延し、みなの衆、甘んじて毒されたのかしらん?
 箱の中のお砂場という「自由にして保護された空間」でこそ、患者の自己治癒力が発揮されるそうだ。なあに、心理学はどうでもよくて、みなの衆、子どもにかえって横着決めこみ遊びまわりたいだけさ。だって、こころもからだも、頑丈極まりないんだし。
                       秋浜 悟史
『あの日に還りたい』チラシより   2003・9
 「あの日に還りたい」とは、何たる世迷い言か。その若さで、その遅疑逡巡、反語だとして肯くしかあるまい。過去を振り捨て、未知に目を輝かしてこそ、青春真っ盛りの名に値します。「あの日」の感動は、あなたたちがこれから生み出すのです。途方もない思い出作りのために、お芝居の場がお互いにあるんじゃなかったですか。
 「いちびり」の意味を、語源にさかのぼって吟味し直しましょう。自分にできもしないことだから、あえて力んでやるんですって。 
                         秋浜 悟史
『百万遍の寝返り』パンフレットより   2004・10
 21世紀を迎えてから、ホヤホヤの産物が「いちびり一家」なのだ。ミュージカルがジャンルとして、生成の新しさをむしろ誇るように、「いちびり一家」も、演劇の歴史にとらわれない奔放さを、もっと振り回すべきだ。何が出てくるかとワクワクさせる、そのドッキリ感覚で、お客を脅すべきだ。
 もっとも、劇団の諸君はミュージカルを標榜したわけではない。結果がそうと言われただけのこと。奇想天外の「羽化」が、きっとなはずだ。                                                     
                         秋浜 悟史